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U.S. Case Brief (69)
特許業務法人 原謙三国際特許事務所
平成23年07月04日
(文責:新 井)
Therasense and Abbott v. Becton, Dickinson and NOVA事件後
最初の不公正行為に係るCAFC判決
American Calcar, Inc. v. American Honda Motor Co., Inc. (Fed. Cir. 2011)*1
1.はじめに
2011年5月25日に、CAFCは、Therasense and Abbott v. Becton, Dickinson and NOVA事件において、不公正行為に関し、「重要性」および「欺く意図」の認定基準を修正する旨の大法廷判決を下しました。
CAFC大法廷は、問題の情報が特許性判断に重要であるか否かと、USPTOを「欺く意図」があったか否かとの二つの基準に基づいて不公正行為の認定を行うことを変更したわけではなく、これら二つの基準を修正し高くしました。
すなわち、「重要性」に係る基準として“but-for materiality”standard が採用され、「欺く意図」に係る基準として“knowing and deliberate”standard)*3 が採用されました。
このような状況下で、2011年6月27日、上記大法廷判決後最初の不公正行為に係る判決がCAFCによって下されました。
2.CAFCの判決
CAFCによる今回の判決は、本件原告が所有する第1特許(3つの特許のうちの一つ)に対する「重要性」の認定に係る下級審判決を支持するものでした。また、第2および第3特許(上記3つの特許の残りの二つ)に関連する「重要性」に係る認定と、上記三つの特許に関し「欺く意図」に係る認定については、米国カリフォルニア州南部地区連邦地方裁判所に差し戻されました。以下に詳しく説明します。
上記の第1~第3特許取得において不公正行為が行われたか否かが、本件の争点の一つでした。上記の第1特許("the Three-Status patent"(USPN. 6,330,497))のクレーム1発明は、"a system that allows a user to select an option from a list, to be shown a preview of information about it, and then to activate it”に係り、上記のThree-Status とは、"the first status is the unselected one, followed by the selected status, and then an activated status"と定義されています。
上記の第2および第3特許("the Search patents"(USPN.6,438,465 およびUSPN.6,542,795))は、"performing searches on a system in a vehicle"に係り、第2および第3特許の代表的なクレームは、クレーム1*4 に規定されています。
本件のプロセキューション履歴によれば、本件の特許出願前の1996年8月に、上記特許の発明者らの一人は、検査用にHondaのAcura 96RL vehicleが与えられ、この自動車をCalcar(本件の原告)のオフィスまで運転しながら検査しました。なお、本件特許の他の二人の発明者を含む多数の社員も上記の自動車を検査しました。
上記の発明者らは、その後、Acura 96RL vehicleと類似の特徴を備えた車載ナビゲーションシステムをクレームした第1~第3特許に係る出願をファイルしました。この特許出願明細書において、発明の背景中に、Acura 96RL vehicleに搭載のナビゲーションシステムがcommercially available であることに加え、上記システムのナビゲーションのみについて記載(how the system is able to receive satellite signals and verbally and visually communicate instructions to the user for reaching the desired destinationを記載)しましたが、そのユーザ・インターフェースの詳細(上記の第1~第3特許の特徴)については記載しませんでした。
つまり、発明者らは、USPTOに対して、Acura 96RL vehicleに搭載のナビゲーションシステムのuser interaction("three-status"や“search”に関連する情報)については開示しませんでした。本件被告は、開示されなかった情報が重要な情報であったにもかかわらずUSPTOに開示されなかった旨を主張していました。また、この点に関し、米国連邦地方裁判所においても、不公正行為と認定されていました。
本件において、CAFCは、次のように判示しました。
すなわち、上記の第1特許に関し、Therasense and Abbott v. Becton, Dickinson and NOVA事件において示された「重要性」に係る新たな基準である"but-for" standard下においてさえ、米国連邦地方裁判所による不公正行為との認定は適切なものであった。また、Acura 96RL vehicleに搭載のナビゲーションシステムのuser interactionに係る情報が、上記の第1特許にとって重要であったことについて、本件被告の主張を支持する。
なお、「欺く意図」について、CAFCは、米国連邦地方裁判所によるアプローチが、Therasense and Abbott v. Becton, Dickinson and NOVA事件において認められなかったことを理由に差し戻しました。
以 上
*1 LINK: http://www.patentlyo.com/files/09-1503-1567.pdf
*2 USPTO/裁判所が、提出されなかった情報を知っていたとすれば、特許出願のクレーム発明の特許性を認めなかったであろう場合、その情報は重要なものであると認定される
*3 USPTOを「欺く意図」があったと認定されるためには、過失または重過失(”negligence” or “gross negligence”)を証明するだけでは不十分であり、情報開示義務を有する者が、
(i) 不提出の情報が重要であることを知っていたこと、及び
(ii) その重要な情報を故意に(deliberately)開示しなかったこと
が”clear and convincing evidence”に基づいて立証される必要がある
Claim 1. A system for use in a vehicle comprising:
a memory for storing a plurality of displays hav-ing predetermined contents, the plurality of dis-plays being associated with a plurality of aspects of the vehicle;
an interface for entering a query to conduct a search concerning an aspect of the vehicle;
an input device for selecting a result of the search;
a processor responsive to the selected result for identifying at least one of the plurality of displays which is associated with the aspect of the vehicle; and
a display element for showing thereon the at least one display.