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海外の商標検索方法とは?WIPO・各国公式データベースと調べ方

海外で商品やサービスを展開するときは、その国・地域で同一又は類似する商標が先に出願・登録されていないかを確認する必要があります。

日本で商標登録を受けていても、その権利が当然に外国へ及ぶわけではありません。また、海外では商標検索データベースや使用言語、商標の判断基準などが国・地域によって異なります。

自分で海外商標を調査する場合は、まずWIPOのGlobal Brand DatabaseやEUIPOのTMviewで広く横断検索し、重要な候補を対象国・地域の公式データベースで確認する流れが基本です。

本記事では、海外の商標検索に利用できる主な公式サイトと、商標出願前に確認すべきポイントを簡潔に解説します。

調べ方の基本:① Global Brand DatabaseやTMviewで広く検索 → ② 対象国・地域の公式データベースで確認

1. 海外へ進出する前に商標検索を行う

商標権は、原則として権利を取得した国・地域で効力を持ちます。そのため、日本で使用・登録しているブランドを海外へ展開するときも、進出先の先行商標を調査する必要があります。

特に、次のようなタイミングで先行商標を確認しておくことが有用です。

  • 海外向けのブランド名を考えているとき
  • 採用する名称を絞り込んだとき
  • パッケージや広告等に費用をかける前
  • 海外で商標出願を行う前

使用開始後に問題となる商標が見つかると、ブランド名、商品パッケージ、ウェブサイトなどの変更が必要になる可能性があります。

2. まずは海外商標を横断検索する

複数の国・地域を調べる場合は、最初から各国・地域の検索サイトを一つずつ確認するより、国際的なデータベースを利用して広く候補を探す方が効率的です。

WIPO Global Brand Database

WIPO「Global Brand Database」

世界知的所有権機関(WIPO)が提供する商標データベースです。マドリッド制度による国際登録に加え、データを提供している各国・地域の商標を横断して検索できます。商標名、権利者名、番号、商品・サービスなどから検索でき、画像検索の機能もあります。

海外商標調査の入口として便利ですが、すべての国・地域の情報を完全に収録しているわけではありません。重要な候補は、対象国・地域の知的財産庁が提供する公式データベースでも確認します。

WIPO Global Brand Databaseの商標検索画面
【図1】WIPO Global Brand Databaseの商標検索画面出典:https://branddb.wipo.int

TMview

EUIPO「Search IP / TMview」

TMviewは、EUIPO(欧州連合知的財産庁)が提供する商標検索ツールです。EUだけでなく、参加する各国・地域の知的財産機関が提供する商標情報を横断検索できます。Global Brand Databaseとは収録範囲等が異なるため、必要に応じて両方を活用します。

マドリッド制度による国際登録を確認する場合

WIPO「eMadrid – Find and Monitor」

マドリッド制度による国際登録については、eMadridから国際登録の内容や指定国・地域での状況を確認できます。ただし、各国・地域へ直接行われた国内出願をすべて確認できるものではないため、対象国・地域の公式データベースと使い分けます。

3. 主要国・地域の公式商標検索サイト一覧

横断検索の後は、実際に出願・進出する国・地域の公式検索サイトで、重要な商標の詳細や最新の状態を確認します。

例えば、米国では、USPTO(米国特許商標庁)の「Trademark Search」を利用します。

米国USPTOの公式商標検索画面(Trademark Search)
【図2】米国USPTOの公式商標検索画面出典:https://tmsearch.uspto.gov

検索サイトの名称、URL、画面構成は変更されることがあります。検索画面へアクセスできなくなった場合は、各知的財産庁の公式サイトから最新の検索サイトを確認してください。

4. 海外商標検索は4つの手順で進める

① 対象国と商品・サービスを決める

まず、どの国・地域でブランドを使用するのかを整理します。併せて、商標を使用する商品・サービスも確認します。商標の抵触関係は、名称だけでなく、商品・サービスとの関係も踏まえて判断されるためです。

② まず完全一致を検索する

使用予定のブランド名をそのまま入力し、完全に同じ商標があるかを確認します。気になる登録商標や出願が見つかった場合は、権利者、指定商品・指定役務、出願日、登録状況などの詳細情報を確認します。

③ 表記・発音・現地語へ検索を広げる

完全一致がなければ、次のように検索範囲を広げます。

  • スペースやハイフンの有無
  • 単数形・複数形
  • 綴りが近い表記
  • 略称
  • 発音が近い表記
  • ブランドを構成する主要な単語

外国で現地語の名称を使用する場合は、その表記も検索します。例えば中国語圏で音訳名や意訳名を使用するのであれば、それらも調査対象です。ロゴについては、文字だけでなくGlobal Brand Database等の画像検索を活用する方法もあります。

④ 公式データベースで詳細を確認する

検索結果に気になる商標が表示されたら、次の情報を確認します。

  • 出願中か、登録されているか
  • 現在も権利が有効か
  • 権利者は誰か
  • 指定商品・指定役務は何か
  • 出願日や優先日はいつか

横断検索データベースと対象国・地域の公式データベースでは、情報の収録範囲や更新時期に差が生じる場合があります。重要な候補については、対象国・地域の公式データベースで最新の状況を確認するのが基本です。

5. 検索結果だけで「使える・登録できる」とは判断できない

WIPO、EUIPO、USPTOなど、多くの公的な商標検索サイトは無料で利用できます。先行する出願・登録商標の存在や、権利者、指定商品・指定役務などを自分で確認できる点で有用です。

ただし、検索結果に同じ商標がなかったからといって、直ちにそのブランドを使用又は登録できるとは限りません。

海外の商標では、完全に同じ名称だけでなく、商標の見た目、発音、意味、商品・サービスとの関係などが問題になる場合があります。具体的な判断基準は国・地域によって異なります。また、商品・サービスの区分が違うという理由だけで、問題がないと判断することもできません。

国・地域によっては登録商標だけでなく、市場での先行使用などを確認する必要がある場合もあります。

無料データベースは「候補を絞るための予備調査」「明らかな先行商標がないかを確認する調査」として活用します。

6. 専門家による海外商標調査を検討する場面

次のような場合は、自分で行う検索に加えて、弁理士や対象国・地域の専門家への相談を検討するとよいでしょう。

  • 海外で主要ブランドとして長期間使用する
  • 複数国で同時に展開する
  • 広告や商品パッケージ等への投資額が大きい
  • 似た商標が見つかり、問題になるか判断しにくい
  • 中国語などの現地語ブランドも使用する
  • 海外での商標出願を具体的に予定している

海外商標調査では、検索ツールの操作だけでなく、どの表記を検索するか、どの商品・サービスまで調べるか、結果をどのように評価するかが重要です。

検索の段階で問題となり得る商標が見つかれば、ブランド名の変更、出願国や指定商品・指定役務の検討など、海外展開の知財戦略を早い段階で見直すことも可能です。

7. まとめ

海外商標を自分で検索する場合は、Global Brand DatabaseやTMviewで広く横断検索し、重要な候補を対象国・地域の公式データベースで確認するのがよいでしょう。

完全一致だけでなく、表記や発音、現地語名称、商品・サービスとの関係も確認します。

無料の公式検索サイトは海外商標調査の有用な入口ですが、重要なブランドでは検索結果だけで結論を出さず、必要に応じて弁理士や対象国・地域の専門家へ相談することが適切です。

弁
この記事の監修者
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
弁理士 米田 辰也

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