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会社名の商標登録を検索する方法商号との違いと登録する意味

ポイント:会社名を登記できることと、その名称をブランドとして安全に使用できることは別の問題です。

新しい会社を設立するときや社名を変更するとき、「この会社名はすでに使われていないか」と確認する方は多いでしょう。

ただし、会社名について確認すべきものは、商号だけではありません。会社名をウェブサイト、店舗、広告、商品・サービスなどで企業を示すブランドとして使用するのであれば、他人の商標との関係も確認する必要があります。

そこで本記事では、まず商号と商標の違いを整理したうえで、会社名がブランドとして持つ意味、商標登録を検討する理由、会社名を決める際の検索の流れを解説します。

なお、本記事は2026年8月時点の情報に基づいています。

1. 会社名・商号と商標は何が違うのか

会社法上、会社の名称を「商号」といいます。

株式会社であれば商号中に「株式会社」という文字を使用する必要があり、合同会社、合名会社、合資会社についても、それぞれ会社の種類を示す文字を使用します。

また、すでに登記されている他の会社と商号が同一で、かつ本店の所在場所も同一である場合には、その商号を登記することはできません。法務省も、会社設立に際して同一本店所在地に同一商号の会社があるかを調査する必要があると案内しています。

もっとも、商号を登記したことによって、その名称について商標権と同じような全国的な独占権が得られるわけではありません。

これに対して商標は、事業者が自己の商品・サービスを他人の商品・サービスと区別するために使用する名称やマークです。

例えば、会社名を契約書や請求書に当事者の名称として記載する場合は、主として商号としての使用と考えられます。

一方、会社名の主要部分をウェブサイトの目立つ位置に掲げたり、商品・サービス、店舗、広告などに表示して企業ブランドとして使用したりする場合には、その会社名が商標として機能することがあります。

つまり、同じ会社名でも、会社そのものを表示する名称としての側面と、商品・サービスの出所を示すブランドとしての側面があるということです。

2. 会社名は企業のブランドになる

会社名は単なる登記上の名称にとどまらず、継続して使用することで企業の信用やイメージが蓄積されるブランドになることがあります。

特に、会社名そのものを前面に出して複数の商品やサービスを展開する企業では、会社名が企業全体を表すブランド、いわゆる「ハウスマーク」として機能します。

消費者や取引先が会社名を見て、その会社の商品・サービスであることを認識するようになれば、会社名そのものにブランド価値が蓄積されていきます。

このような会社名については、会社を設立できるかという商号の問題だけでなく、企業を代表するブランドとしてどのように保護するかという視点が重要です。

3. 会社名を商標登録する意味

会社名をブランドとして継続的に使用するのであれば、商標登録を検討する意味があります。

ブランドとしての会社名を権利として保護できる

商標権は、登録した商標と、その商標を使用する指定商品・指定役務との組合せによって権利範囲が定まります。

商標登録がされると、商標権者は指定商品・指定役務について登録商標を独占的に使用でき、一定の類似範囲について第三者による使用を排除できます。

そのため、会社名を重要な企業ブランドとして育てていく場合、商標登録によってそのブランドを権利として保護することができます。

後から名称の使用方法を見直すリスクを抑える

会社を設立して会社名を使用していたとしても、その事実だけで当然に商標権が発生するわけではありません。

会社名と同一又は類似する他人の先行商標が存在し、その商品・サービスとの関係でも問題となる場合には、会社名をブランドとして使用する方法について検討が必要になることがあります。

特に、ウェブサイト、看板、広告、商品パッケージなどを制作し、広く会社名を公表した後で問題が判明すると、名称の表示方法の変更など事業上の対応が必要になる可能性があります。

そのため、会社名を決定して本格的にブランドとして活用する前に、先行商標を調査しておくことが重要です。

登録する商品・サービスの範囲を考える

会社名を一度商標登録すれば、会社が行うすべての事業について自動的に保護されるわけではありません。

商標登録出願では、商標を使用する商品・サービスを「指定商品・指定役務」として指定します。商品・サービスは区分に分類されているため、自社の事業内容に応じて、どの商品・サービスについて権利を取得するのかを検討する必要があります。

2026年1月1日以降の商標登録出願については、国際分類第13-2026版が適用されています。

会社名を企業全体のブランドとして使用する場合には、現在行っている事業だけでなく、実際に展開を予定している商品・サービスも踏まえて出願範囲を検討することが重要です。

文字とロゴのどちらを保護するかも検討する

会社名を商標登録する際には、会社名の文字列そのものを保護したいのか、特徴的なロゴのデザインも含めて保護したいのかという点も検討します。

会社名の文字とロゴの双方を重要なブランド要素として使用する場合には、それぞれの使用方法や重要性を踏まえて出願方法を選択する必要があります。

4. 会社名を決めるときの検索の流れ

会社名について調査するときは、「同じ会社名の法人が存在するか」と「商標として問題がないか」を分けて確認すると分かりやすくなります。

① 商号・法人情報を確認する

まず、同じ会社名の法人が存在するかを確認します。

商号については、法務省が案内するオンライン登記情報検索サービスなどを活用して確認できます。

また、国税庁の法人番号公表サイトでは、法人番号の指定を受けた法人等について、「商号又は名称」「本店又は主たる事務所の所在地」「法人番号」の基本3情報を検索できます。

ただし、法人番号公表サイトは法人情報を確認するためのサイトであり、商標権を検索するためのデータベースではありません。

同じ会社名の法人が見つからないことと、その名称を商標として使用・登録できることは別です。

② 会社名と同一・類似する先行商標を確認する

次に、会社名をブランドとして使用する商品・サービスについて、他人の先行商標を確認します。

日本の商標については、INPITが提供する特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を利用して無料で検索できます。

J-PlatPatの商標検索では、商標名や称呼、類似群コードなどを利用して、出願・登録情報を確認できます。

会社名の候補を検討する初期段階では、J-PlatPatを使って簡易的に先行商標をチェックし、候補を絞るために活用することもできます。

具体的な入力方法、称呼検索、類似群コードを使った検索などの詳細な操作方法について、当所の以下のページで詳しく解説しています。

当所「J-PlatPatを使った商標検索の方法」

③ 検索結果を法的に評価する

会社名と同じ文字の商標が検索でヒットしなかったからといって、直ちに問題がないとは判断できません。

商標の類否は文字の完全一致だけで決まるものではありません。外観、称呼、観念などを踏まえて検討する必要があり、先行商標との関係では、使用する商品・サービスが同一又は類似するかも重要です。

反対に、同じ名称の登録商標が見つかった場合でも、それだけで直ちにその会社名を使用できないと決まるわけではありません。

先行商標の権利が現在も有効か、どの商品・サービスについて登録されているか、会社名をどのような態様で使用するのかなどを確認する必要があります。

この検索結果を評価する作業が、単純なキーワード検索と専門的な商標調査との大きな違いです。

5. 「自分の会社名だから自由に使える」とは限らない

商標法では、自己の名称を普通に用いられる方法で表示する場合には、他人の商標権の効力が及ばない場合があります。

特許庁も、自己の会社名と同一の登録商標が存在する場合であっても、自己の会社名を示すものとして普通に使用する範囲では、商標権侵害にならない場合があると説明しています。

ただし、これは「自分の会社名であれば、どのような態様で使用しても問題ない」という意味ではありません。

会社名を単に会社の名称として表示する場合と、商品・サービスを示すブランドとして前面に出して使用する場合とでは、商標法上の評価が異なる可能性があります。

したがって、会社名をブランドとして積極的に使用するのであれば、商号として登記できるかだけでなく、先行商標との関係も事前に確認することが重要です。

6. 特定の会社が保有する商標を検索したい場合

会社名に関する検索には、「自社がその名称を使用できるか確認したい」という目的だけでなく、特定の企業がどのような商標を出願・保有しているかを調べたい場合もあります。

この場合もJ-PlatPatを利用できます。

J-PlatPatの商標検索には「出願人/権利者/名義人」という検索項目があり、会社名を入力することで、その名義人に関する出願・登録情報を検索できます。

会社名の変更や合併などがあった企業について調べる場合には、現在の会社名だけでは確認できない権利が存在する可能性もあるため、旧社名なども含めて確認することがあります。

7. 重要な会社名は弁理士による商標調査も検討する

会社名候補を絞り込む段階であれば、J-PlatPatを利用して自分で簡易的に検索することも有用です。

一方、会社名を今後長期間にわたって企業ブランドとして使用する場合には、商標登録出願の前に、弁理士等の専門家による商標調査を利用することも検討できます。

専門家による調査では、単に検索結果を一覧にするだけでなく、先行商標との類似性、商品・サービスの関係、会社名そのものの登録可能性などについて専門的な見解を得ることができます。

また、どの商品・サービスを指定して商標出願するのか、どの区分を対象とするのか、文字とロゴをどのように保護するのかといった出願方針について相談することもできます。

検索によって問題となり得る商標が見つかった場合には、会社名候補の変更や使用方法、商標出願の範囲など、その後の対応を会社設立や事業計画とあわせて検討することが重要です。

特に、ウェブサイトや看板、広告などを制作して広く会社名を公表した後に名称の変更等が必要になると、事業への影響も大きくなります。

会社設立の手続と並行して、ブランドとしての会社名についても早い段階で調査・相談しておくとよいでしょう。

8. まとめ

会社名を決めるときは、商号と商標を分けて考える必要があります。

商号は会社の名称として登記するものですが、商号を登記しただけで、その名称を企業ブランドとして広く保護できる商標権が得られるわけではありません。

会社名をウェブサイト、商品・サービス、店舗、広告などで企業を示すブランドとして使用するのであれば、商標登録を検討する意味があります。

会社名を決める際は、

  1. 商号・法人情報を確認する
  2. ブランドとして使用する商品・サービスを整理する
  3. J-PlatPatで先行商標を簡易検索する
  4. 検索結果を評価する
  5. 必要な範囲について商標登録出願を検討する

という流れで進めると分かりやすいでしょう。

J-PlatPatの具体的な検索方法や注意点については、当所「J-PlatPatを使った商標検索の方法」で詳しく解説しています。

HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARKでは、会社名の先行商標調査、登録可能性の検討、指定商品・指定役務や区分の検討、商標登録出願等を支援しています。

会社名を重要な企業ブランドとして使用する場合には、商号の確認だけでなく、商標の観点からも事前にご相談ください。

弁
この記事の監修者
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
弁護士・弁理士 西山 泰生

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