PATENT
特許・実用新案
商標登録証とは、商標権の設定登録時に特許庁から交付される証書です。商標法の条文、特許庁がいう「名誉を表示するための書面」の意味、2026年4月以降のオンライン発送、紙に印刷して残す方法を解説します。
商標登録証は、商標権の設定登録が行われたときに、特許庁長官から商標権者へ交付される証書です。
一般には「登録証が発行される」と表現されることもありますが、商標法が用いている正式な表現は「交付」です。
2026年4月1日からは、特許庁のオンライン発送制度が変更されました。特に弁理士等が代理する案件ではオンライン受領が必須であるため、企業の商標登録実務では、登録証を電子データで受け取る運用が中心となっています。もっとも、ブランド登録の記念性を大切にしたい場合には、電子データを紙に印刷して残すこともできます。
商標登録証の交付について、商標法第71条の2第1項は、次のように定めています。
「特許庁長官は、商標権の設定の登録があつたとき……商標権者に対し、商標登録証……を交付する。」
商標法第71条の2第1項
商標登録証は、特許庁が任意に発行している記念品ではなく、商標法に基づいて交付される証書です。
商標登録証の見本には、主に次の事項が記載されています。
| 主な記載事項 | 内容 |
|---|---|
| 登録番号 | 登録された商標権を識別する番号 |
| 商標 | 登録された文字、図形、ロゴ等 |
| 指定商品・指定役務及び区分 | 商標権による保護の対象 |
| 商標権者 | 設定登録時の権利者 |
| 出願番号・出願日 | 商標登録出願を特定する情報 |
| 設定登録日 | 商標権が発生した日 |

特許庁は、特許証・登録証と登録原簿の違いについて、次のように説明しています。
「特許(登録)証」とは、名誉を表示するための書面
特許庁「特許(登録)証について」
ここでいう「名誉」は、登録証を持っている者に特別な法的地位を与えるという意味ではありません。所定の審査を経て、名称やロゴが商標権として設定登録された成果を形にして示す、という登録証の性格を表したものです。
新しいブランドを立ち上げるまでには、名称やロゴの検討、商標調査、出願、審査への対応など、複数の段階があります。登録証は、その過程を経て商標が登録された節目を、社内や事業に関わった人々と共有するための一枚にもなります。
これらは特許庁が指定する登録証の利用方法ではなく、登録証の名誉性・記念性を踏まえた当所からの提案です。
商標権が発生する時点について、商標法第18条第1項は次のように定めています。
「商標権は、設定の登録により発生する。」
商標法第18条第1項
商標権は、登録証が届いた日や、登録証を開封した日に発生するものではありません。登録料が納付され、商標登録原簿に設定登録された時点で発生します。
このため、登録証を紛失しても、それだけで商標権が消滅することはありません。また、登録証を他人へ渡しても、商標権がその人へ移転するわけではありません。
特許庁も、登録証が手元にない場合でも権利者であることを主張できなくなるものではなく、登録証を譲渡しても権利自体が譲渡されるものではないと説明しています。
商標登録証は、商標権そのものではなく、商標権が設定登録されたことを示す証書と理解するのが適切です。
特許庁では、2024年4月から、商標登録証を含む一部書類をオンラインで受領できるようになりました。さらに、2026年4月1日からオンライン発送制度が見直されています。
2026年4月以降の受領方法は、次のように整理できます。
| 手続を行う者 | 登録証等の受領方法 |
|---|---|
| 弁理士等の「業として対特許庁手続を代理する者」 | オンライン受領が必須 |
| 本人が手続し、オンライン受領の届出をした場合 | オンラインで受領 |
| 本人が手続し、オンライン受領の届出をしていない場合 | 書面で郵送 |
本人が手続する場合は、「特定通知等を受ける旨の届出」の有無によって、オンライン又は紙での受領となります。一方、弁理士等が代理する案件では、オンラインで発送書類を受領しなければなりません。
また、登録証だけを紙で受け取り、そのほかの通知をオンラインで受け取るという選択はできません。オンライン受領の届出をした場合は、原則として特許庁からの発送書類全体がオンライン発送の対象になります。
オンラインで受取可能となった日の翌日から、開庁日のみを数えて10日以内に受領しなかった場合、その書類は10日経過時に到達したものとして扱われます。これを「経過到達」といいます。
経過到達した書類が、改めて紙で郵送されることはありません。商標登録証も経過到達の対象です。
オンライン発送データは、一度受信した後に特許庁から再発送してもらうことができません。登録証の電子データを受領したら、社内サーバー等へ保存し、別の場所にもバックアップを保管するのが安全です。
商標登録証をオンラインで受け取ることと、紙で手元に残すことは、二者択一ではありません。
日常的な権利管理には、電子データが適しています。登録番号で検索でき、複数の担当者や拠点でも共有しやすく、紙の紛失や劣化も避けられます。
一方、ブランド登録の節目を形に残したい場合は、オンラインで受領したPDFを紙に印刷できます。特許庁も、紙の登録証が必要な場合には、電子データを印刷して利用するよう案内しています。
特許庁が従来発行していた商標登録証と同水準の印刷物を作成したい場合には、次の参考規格が示されています。
| 項目 | 商標登録証の参考規格 |
|---|---|
| 用紙 | マットコート紙(半光沢紙)又は上質紙(非塗工紙) |
| 厚さ | 0.18mm |
| 坪量 | 157g/㎡ |
| サイズ | A4 |
| 印刷方向 | 縦 |
これは法令上の必須規格ではありません。社内保管用であれば通常の用紙でも足りますが、掲示や記念保管を目的とするなら、厚手の紙にカラーで印刷すると、証書らしい仕上がりになります。
特許庁から紙の登録証を改めて受け取りたい場合には、再交付を請求する方法もあります。ただし、記念として紙を残すことが目的であれば、まずは電子データを印刷する方法が簡便です。
商標登録証に記載されるのは、設定登録時点の内容です。
その後に商標権者の名称や住所が変わった場合、商標権が譲渡された場合、存続期間が更新された場合でも、当初の登録証が自動的に差し替えられるわけではありません。
登録証、J-PlatPat及び登録原簿の役割は、次のように異なります。
| 書類・サービス | 主な役割 |
|---|---|
| 商標登録証 | 設定登録された事実と名誉を示す |
| J-PlatPat | 公報や経過情報を無料で調べる |
| 商標登録原簿 | 現在の権利状態や移転等を正式に確認・証明する |
譲渡、ライセンス、担保設定、権利行使など、現在の権利者や権利の存続状況を正確に確認する必要がある場面では、登録証だけで判断せず、登録原簿を確認します。
2026年4月以降、弁理士等が代理する案件では、商標登録証もオンラインで受領します。受領したPDFは、紛失に備えて確実に保存してください。
ブランド登録の喜びや、事業に携わった人々の成果を形に残したい場合は、登録証を厚手の紙に印刷し、保管又は掲示する方法もあります。
商標登録証は、権利管理のための電子データとして扱いながら、ブランドが登録された節目を伝える一枚として紙でも残せる証書です。