PATENT
特許・実用新案
商標登録にかかる費用は、自分で手続きをするか、弁理士や特許事務所に依頼するかによって大きく異なります。
自分で商標登録出願を行う場合、最低限必要となるのは、特許庁へ支払う出願料と登録料です。1区分について5年分の登録料を納付する場合は合計29,200円、10年分を一括納付する場合は合計44,900円となります。
弁理士へ依頼する場合は、これに商標調査費用、出願手数料、登録手数料などが加わります。料金体系は特許事務所によって異なりますが、1区分について調査から登録まで依頼する場合、総額10万円から20万円程度が一つの目安です。
ただし、区分数、商標の種類、調査内容、審査結果、拒絶理由通知の有無などによって、実際の金額は変わります。
本記事では、商標登録の費用について、特許庁へ支払う料金、弁理士へ依頼する場合の相場、追加費用が発生するケース、費用を抑える方法まで解説します。
商標権は、特許権、実用新案権、意匠権と並ぶ産業財産権の一つであり、企業にとって重要な知的財産権です。商品名、サービス名、会社や店舗の名称、ロゴ等を商標権によって保護するには、原則として特許庁へ商標登録出願を行い、審査を受ける必要があります。
商標登録にかかる費用は、大きく次の二つに分かれます。
特許庁へ支払う費用には、出願時の「出願料」と、審査を通過した後に納付する「登録料」があります。これらは、自分で手続きをする人にも必要です。
弁理士へ依頼する場合は、商標調査、出願書類の作成、指定商品・指定役務の選定、特許庁への手続き、登録料の納付管理などに対する手数料が発生します。
商標登録の費用を比較するときは、広告や料金表に表示された一部の金額だけでなく、出願から商標権取得までに支払う総額を確認することが重要です。
商標登録の手続きでは、主に以下のタイミングで特許庁へ料金を支払います。
特許庁へ納付する料金は、指定する商品・サービスの「区分数」に応じて増加します。
特許庁費用は、特許事務所の見積書などで「官庁費用」「印紙代」又は「特許印紙代」と表示されることがあります。ただし、オンライン手続きでは電子現金納付など、特許印紙以外の納付方法も利用できます。
本記事に記載する金額は2026年7月時点の情報です。料金が変更される場合があるため、実際に手続きをする際は、特許庁の公式サイトで最新の料金表をご覧ください。
商標登録出願時に特許庁へ支払う料金は、次の計算式で求めます。
3,400円+区分数×8,600円
区分数ごとの出願料は、次のとおりです。
| 区分数 | 出願料 |
|---|---|
| 1区分 | 12,000円 |
| 2区分 | 20,600円 |
| 3区分 | 29,200円 |
| 4区分 | 37,800円 |
| 5区分 | 46,400円 |
例えば、飲食物の販売と飲食店サービスの両方について権利を取得する場合、それぞれが異なる区分に属することがあります。その場合、複数区分での商標出願が必要となり、費用も増加します。
特許庁の審査を通過して登録査定を受けた後は、商標権を発生させるために登録料を納付します。
登録料は、10年分を一括して支払う方法と、5年分ずつ分割して支払う方法があります。
5年分の分割納付を選択した場合、後半の5年間も商標権を維持するためには、所定の期限までに後期分の登録料を納付する必要があります。
前期分と後期分を合わせると、1区分当たり34,400円となるため、10年分を一括納付する場合の32,900円よりも1,500円高くなります。
弁理士へ依頼せず、自分で商標登録出願を行う場合は、原則として特許庁費用だけで手続きできます。
区分数ごとの特許庁費用の一覧は、次のとおりです。
| 区分数 | 出願料 | 5年分の登録料 | 5年分の合計 | 10年分の登録料 | 10年分の合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1区分 | 12,000円 | 17,200円 | 29,200円 | 32,900円 | 44,900円 |
| 2区分 | 20,600円 | 34,400円 | 55,000円 | 65,800円 | 86,400円 |
| 3区分 | 29,200円 | 51,600円 | 80,800円 | 98,700円 | 127,900円 |
この表は、拒絶理由通知を受けず、通常どおり登録査定に至った場合の特許庁費用です。
紙の書類で出願する場合は、特許庁への出願料とは別に、電子化手数料が発生することがあります。電子化手数料は、2,400円に書面のページ数×800円を加えた金額です。
このほか、郵送料、書類の印刷費、証明書の取得費用などがかかる場合があります。
自分で手続きをすれば弁理士費用を抑えられますが、商標調査、区分の選択、指定商品・指定役務の記載なども自分で行わなければなりません。出願内容に不備があると、追加の手続きが必要になったり、希望する範囲の権利を取得できなかったりする可能性があります。
弁理士や特許事務所に商標登録を依頼する場合は、特許庁費用に加えて代理人手数料が発生します。
一般に、次の費用が含まれます。
料金体系は依頼先によって異なります。調査費用や成功報酬を個別に設定する事務所もあれば、出願から登録までを一つの料金にまとめている事務所もあります。そのため、単に料金が安いか高いかではなく、どの手続きやサポートが含まれているかを確認する必要があります。
国内の文字商標を1区分で出願し、拒絶理由通知を受けずに登録された場合、特許庁費用と弁理士費用を合わせた総額は、10万円から20万円程度が一つの目安です。ただし、これは参考となる概算であり、依頼する業務の範囲や料金体系によって異なります。図形商標の調査、複数区分の出願、詳細な登録可能性の検討などが必要な場合は、それ以上になることがあります。
商標登録出願の前には、同一又は類似する先行商標がないかを調査します。
文字商標の調査費用は1万円から5万円程度、ロゴや図形を含む商標の調査費用は3万円から10万円程度が一つの目安です。
出願を依頼することを条件に、調査費用を無料又は割引としている特許事務所もあります。ただし、無料調査の範囲や、調査結果についてどの程度の説明を受けられるかは事務所によって異なります。
出願手数料には、願書の作成、区分の検討、指定商品・指定役務の作成、特許庁への提出などが含まれます。
1区分目と2区分目以降で異なる料金を設定する事務所が多く、区分数に応じて手数料が加算されるのが一般的です。
登録査定を受けた後は、登録料納付書の作成や特許庁への納付手続きに関する手数料が発生することがあります。
また、商標登録が認められた時点で成功報酬を請求する料金体系もあります。
見積もりを確認するときは、出願時の料金だけでなく、登録時の手数料や成功報酬が含まれているかを確認しましょう。
区分とは、商標を使用する商品・サービスを分類するためのカテゴリーです。商標登録では、商品・サービスが第1類から第45類までに分類されています。
例えば、次のように分類されます。
同じ名称を使用する場合でも、商品を製造・販売するのか、小売サービスを提供するのか、飲食店を運営するのかによって、必要な区分が異なります。
区分が一つ増えるごとに、出願料は8,600円、10年分の登録料は32,900円増加します。弁理士へ依頼する場合は、これに追加区分の代理人手数料も加わります。
ただし、費用を抑えるために区分や指定商品・指定役務を不適切に限定すると、実際の事業を十分に保護できない可能性があります。
反対に、現在又は将来の事業と関連しない商品・サービスを必要以上に指定すると、費用が増えるだけでなく、審査や登録後の管理に影響することがあります。
必要な権利範囲と費用のバランスを考えて区分を選ぶことが重要です。
商標登録は、一般に次の流れで進みます。
出願料は、商標登録出願を提出するときに納付します。
登録料は、登録査定の謄本が送達された後、原則として30日以内に納付します。登録査定という審査結果を受け取っただけでは商標権は発生せず、期限内に登録料を納付する必要があります。
弁理士へ依頼する場合、代理人費用も出願時と登録時の二段階に分かれて発生することがあります。
商標登録の手続きが、出願料と登録料だけで完了するとは限りません。
特許庁の審査結果や出願内容によっては、拒絶理由通知への対応などの中間処理が必要となります。こうした対応には追加の費用だけでなく、一定の時間を要することもあります。
特許庁の審査官が登録できない理由があると判断した場合、拒絶理由通知が送付されます。
拒絶理由を解消するため、意見書や手続補正書を提出することがあります。これらの書類の提出について、通常は新たな特許庁手数料は発生しませんが、弁理士へ対応を依頼する場合は、別途代理人費用が必要です。
費用は、拒絶理由の内容や対応の難易度によって異なります。指定商品・指定役務の補正で対応できる場合もあれば、先行商標との非類似を意見書で主張する必要がある場合もあります。
意見書や補正書を提出しても拒絶査定となった場合、拒絶査定不服審判を請求できることがあります。
商標に関する審判請求の特許庁費用は、次の計算式です。
15,000円+区分数×40,000円
1区分の場合は55,000円となり、弁理士へ依頼する場合は審判の代理人費用も加わります。
出願に複数の商品・サービスが含まれている場合、審査への対応などのため、出願を分割することがあります。
分割出願を行うと、新たな出願として出願料と代理人手数料が発生します。
商標の早期審査の申出について、特許庁手数料は不要です。
ただし、早期審査の対象となることを説明する事情説明書や証明資料の作成を弁理士へ依頼する場合は、別途手数料が発生することがあります。
商標権は、原則として登録された国・地域の中でのみ効力を有します。
海外でも商標を保護する場合は、各国への直接出願又はマドリッド制度を利用した国際登録出願などを検討します。
海外出願では、各国の官庁費用、現地代理人費用、翻訳費用、国際事務局へ支払う料金などが発生するため、国内出願よりも費用が高くなるのが一般的です。
日本の商標権の存続期間は、設定登録の日から10年間です。
更新登録申請を行い、更新登録料を納付すれば、商標権をさらに10年間存続させることができます。更新回数に上限はありません。
更新登録料は、次のとおりです。
1区分の商標権を10年間更新する場合、特許庁へ支払う更新登録料は43,600円です。2区分の場合は87,200円、3区分の場合は130,800円となります。
5年ごとの分割納付を選択し、前期分と後期分を両方支払う場合は、1区分当たり合計45,600円となります。
弁理士へ更新手続きを依頼する場合は、特許庁費用に加えて更新手数料が発生します。
区分数が増えるほど、出願料、登録料、更新登録料が増加します。
現在の事業と将来の事業計画を整理し、保護が必要な商品・サービスを適切に選ぶことが重要です。ただし、費用だけを優先して必要な区分を外すと、十分な権利を取得できない可能性があります。
複数の名称候補がある場合は、J-PlatPatなどの検索サイトを利用して簡易検索を行い、その結果を候補の絞り込みに活用します。明らかに同一又は類似する先行商標がある候補を除外した上で、重要な候補について弁理士へ正式な調査を依頼すれば、調査費用を抑えやすくなります。
先行商標が見つかった場合は、出願前に名称を変更することも検討できます。商品発売後に名称変更を行うよりも、パッケージ、広告、ウェブサイトなどの修正費用を抑えられます。
特許事務所によっては、調査と出願をまとめて依頼することで、調査費用が割引される場合があります。
見積もりを依頼するときは、調査、出願、登録、成功報酬、中間処理までを含む総額を確認しましょう。
初期費用を抑えたい場合は、登録料を5年分ずつ納付する方法があります。
1区分の場合、10年分を一括納付すると32,900円ですが、前期5年分のみであれば17,200円です。
ただし、10年間維持する場合の総額は一括納付より高くなるため、短期的な資金負担と長期的な総額を比較して判断します。
自分で出願する場合、オンラインで電子出願を行えば、書面提出に伴う電子化手数料を避けられます。
ただし、電子出願には所定の環境や手続きが必要です。出願書類の内容に誤りがあると、費用を支払っても十分な権利を取得できないことがあるため、慎重に作成する必要があります。
自分で出願する最大のメリットは、弁理士費用を抑えられることです。
一方、商標登録では、単に願書を提出すればよいわけではありません。先行商標の調査、区分の選択、指定商品・指定役務の作成、商標の識別力の判断などが必要です。
指定商品・指定役務を狭く記載しすぎると、実際の事業を十分に保護できない可能性があります。反対に、必要以上に広い内容で出願すると、費用が増えたり、拒絶理由が生じたりすることがあります。
弁理士へ依頼する場合は費用がかかりますが、知財の専門家から次のようなサポートを受けられます。
初めて商標出願をする場合や、重要なブランド、長期間使用する商品名、複数の事業に展開する名称については、弁理士へ相談することで、手続きの漏れを防ぎ、安心して権利取得を進めやすくなります。
また、出願前の調査が不十分な場合、登録できないだけでなく、採用したネーミングが他人の商標権を侵害するおそれもあります。企業にとって重要な名称やロゴについて依頼先を選ぶ際は、費用だけでなく、商標分野に関する専門性、経験、実績、相談体制も確認することが大切です。
商標登録の費用は、特許庁へ支払う費用と、弁理士や特許事務所へ支払う費用に分かれます。
自分で1区分の商標登録出願を行う場合、5年分の登録料を納付する場合は合計29,200円、10年分を一括納付する場合は合計44,900円です。
弁理士へ依頼する場合は、商標調査、出願書類の作成、登録手続きなどの費用が加わり、1区分で総額10万円から20万円程度が一つの目安となります。
ただし、実際の費用は区分数、調査内容、商標の種類、拒絶理由通知への対応、海外出願の有無などによって異なります。
見積もりを比較するときは、出願時の料金だけではなく、調査、登録、成功報酬、追加の中間処理まで含めた総額を確認することが重要です。
商標登録は、商品名、サービス名、ロゴなどのブランドを守るための投資です。単に費用の安さだけで判断するのではなく、必要な権利範囲と手続きの確実性を考慮し、自分で出願するか弁理士へ依頼するかを検討しましょう。
本記事の作成に当たり、主に以下の公的情報を参照しました。
いずれも2026年7月21日最終確認。URLや掲載内容は変更される場合があります。