PATENT
特許・実用新案
商標登録出願を行った後、「審査結果はいつ届くのか」「通常の商標審査には何ヶ月かかるのか」と気になる方は多いでしょう。
商標の審査期間を正しく把握するには、①出願から審査着手まで、②最初の審査結果まで、③拒絶理由通知への応答後の再審査、④登録査定後の設定登録という各段階を分けて考える必要があります。
本記事では、特許庁の2026年最新情報を基に、通常審査の目安、審査が長引く理由、審査状況の確認方法、早期審査の要件と費用について説明します。
一般に「商標の審査期間」とは、商標登録出願を行ってから、特許庁による最初の審査結果が通知されるまでの期間を指します。最初の審査結果は、主に「登録査定」又は「拒絶理由通知」です。
拒絶理由通知は最終的な拒絶ではありません。出願人は、指定された応答期間内に意見書や手続補正書を提出し、反論又は補正を行うことが可能です。拒絶理由が解消したと認められれば、その後に登録査定を受けられます。
特許庁が定期的に公表しているのは、原則として「出願から審査着手までの期間」です。審査着手とは、審査官が出願について実体的な審査を開始することをいいます。
審査官が審査に着手した後には、先行商標の有無、指定商品・指定役務の記載の明確性、識別力その他の登録要件の判断が行われます。そのため、公表された着手目安と、登録査定又は拒絶理由通知が届く時期は同一ではありません。
登録査定を受け取っただけでは商標権は発生しません。原則として、登録査定の謄本が送達された日から30日以内に登録料を納付し、特許庁による設定登録が行われた時点で商標権が発生します。
したがって、出願から商標権の取得までにかかる時間は、一般に審査期間より長くなります。
特許庁は、審査未着手の商標登録出願について、審査室ごとの着手見通しを約2か月ごとに公表しています。2026年6月から9月までに出願する案件の目安は、以下のとおりです。
| 審査分野 | 主な区分 | 審査着手までの目安 |
|---|---|---|
| 化学 | 第1類~第5類 | 5~7か月 |
| 食品 | 第29類~第33類 | 6~8か月 |
| 機械 | 第6類~第13類、第19類 | 7~9か月 |
| 雑貨・繊維 | 第14類~第18類、第20類~第28類、第34類 | 7~9か月 |
| 産業役務 | 第35類~第40類 | 7~9か月 |
| 一般役務 | 第41類~第45類 | 7~9か月 |
| 国際商標登録出願 | 日本を指定する国際登録 | 8~10か月 |
国内出願は出願日から、国際商標登録出願は世界知的所有権機関(WIPO)から日本国特許庁への指定通報日から起算した目安です。
商品・サービスの分野によって担当審査室が異なるため、同じ時期に出願しても審査着手の目安は一律ではありません。また、特許庁は、出願件数や実際の審査状況により着手時期が変動し得ること、個別案件によっては審査に時間を要することを明示しています。
事業計画を立てる際は、公表値を「予定日」ではなく、おおよその見通しとして利用してください。
商標登録出願から最初の審査結果、その後の手続きまでは、おおむね次の流れで進みます。
出願後は、願書に登録を受けようとする商標、出願人の情報、指定商品・指定役務などの必要事項が記載されているか、また、出願料が適切に納付されているかなど、手続上の要件が確認されます。不備がある場合は補正を求める通知が送付されます。
また、登録を受けようとする商標、出願人の氏名・名称、指定商品・指定役務など、出願日の認定に必要な事項が欠けている場合には、補完を行った日が出願日となるため、当初の提出日よりも出願日が繰り下がることもあります。
審査官は、商標審査基準等に基づき、主に次の事項を確認します。
拒絶理由通知を受けた場合は、通知内容に応じて、意見書や手続補正書を提出します。例えば、引用された先行商標と非類似であることを主張したり、指定商品・指定役務を限定したりして、拒絶理由の解消を目指します。
応答後は、審査官が意見書や手続補正書の内容を検討し、拒絶理由が解消されたかを改めて審査します。拒絶理由が解消され、ほかに拒絶理由がなければ登録査定となります。拒絶理由が解消されていないと判断された場合は拒絶査定となり、新たな拒絶理由が発見された場合には、改めて拒絶理由通知が送付されることもあります。
拒絶理由通知を受けた場合には、応答期間と応答後の審査が加わるため、拒絶理由通知を受けずに登録査定となる場合と比べて、一般に審査期間が長くなります。
商標登録出願の内容や審査結果によっては、出願から登録までに1年以上かかることもあります。主な原因は、次のとおりです。
審査官が登録できない理由を発見した場合、出願人に拒絶理由通知が送付されます。拒絶理由通知を受けた場合は、指定された応答期間内に、意見書や手続補正書を提出して対応します。
出願人が書類を提出すると、審査官による再審査が行われます。そのため、拒絶理由通知を受けなかった案件と比べ、登録までの期間が数か月以上長くなる可能性があります。拒絶理由を解消できず拒絶査定となり、拒絶査定不服審判を請求する場合は、さらに長い期間が必要です。
なお、拒絶理由通知は、最終的な拒絶の決定ではありません。意見書による反論や、指定商品・指定役務の補正によって拒絶理由を解消できる場合があります。
拒絶理由通知を受けた後は、対応方針の決定や証拠資料を準備する必要があります。
指定された応答期間内に対応することが難しい場合には、期間延長申請が可能ですが、その分だけ審査の再開及び登録の時期も後ろにずれることになります。
拒絶理由通知への応答に時間を要することが予想される場合には、応答期限から逆算し、応答方針の検討、社内確認及び証拠資料の収集を早めに進めることが重要です。
まだ登録査定や拒絶理由通知が送付されていない案件については、特許庁の「商標審査着手状況(審査未着手案件)」で、担当分野ごとの一般的な着手見通しを確認することができます。未着手の個別案件について、電話等で具体的な着手予定を問い合わせることはできません。
J-PlatPatでは、出願番号や商標などから案件を検索し、公開情報や経過情報を確認できます。ただし、J-PlatPatに表示される情報だけから、将来の審査着手日や審査結果を予測することはできません。
拒絶理由通知に対して意見書や手続補正書を提出した後は、出願人又は代理人が、所定の方法により次の審査着手予定時期を問い合わせることができます。
問い合わせには、出願番号、問い合わせ人の氏名又は名称、識別番号、出願人との関係などの記載が必要です。
早く商標権を取得する必要がある場合は、商標早期審査制度を活用できる可能性があります。
早期審査とは、所定の要件を満たす商標登録出願について、申出を行うことにより、通常の出願より早く審査結果を得られる制度です。2026年6月現在、早期審査の申出から最初の審査結果が通知されるまでの期間は、平均2か月程度とされています。
ただし、「早期審査を利用すれば、必ず2か月で商標登録が完了する」という意味ではありません。平均2か月程度という期間は、申出から最初の審査結果が通知されるまでの期間です。拒絶理由通知を受けた場合には、その後の応答や再審査に別途時間がかかります。
早期審査を利用するためには、基本的な条件として、出願商標を既に使用しているか、使用の準備を相当程度進めていることが必要です。具体的には、次のいずれかの条件を満たす必要があります。
早期審査の申出には、「早期審査に関する事情説明書」と、商標の使用又は使用準備を示す証拠資料などが必要です。申出前には、自分の出願がどの要件に該当するのか、提出すべき資料に不足がないかを詳細に確認します。
例えば、次のような事情がある場合は、早期審査の利用を検討する余地があります。
ただし、上記の事情があるだけで、必ず早期審査の対象になるわけではありません。実際の使用状況、指定商品・指定役務、提出資料などを踏まえて判断されます。
早期審査と混同されやすい制度として、商標の「ファストトラック審査」があります。ファストトラック審査は、一定の商品・役務表示のみを指定した出願について、別途の申請をしなくても通常より早く審査する運用でした。
しかし、通常の審査期間が短縮されたことを理由として、令和4年度をもって休止されています。2023年3月31日以前に出願された一定の案件を除き、新たにファストトラック審査の対象となることはなく、再開時期も未定です。
現在、商標登録を早めるために検討すべき主な制度は、早期審査です。
早期審査の申出について、特許庁へ支払う手数料はなく、申出自体は無料です。ただし、商標登録出願時の出願料や、登録査定後の登録料は通常どおり必要です。
また、弁理士や特許事務所へ早期審査の申出を依頼する場合は、事情説明書の作成や証拠資料の確認などに関する代理人費用が発生します。代理人費用は事務所や案件の内容によって異なります。
早期審査を利用するかを検討する際は、期間短縮の必要性だけでなく、準備にかかる時間、必要資料、費用も併せて確認します。
A. 2026年6月時点では、国内出願について、出願から審査着手まで5か月から9か月が目安です。化学分野は5~7か月、食品分野は6~8か月、その他の多くの分野は7~9か月とされています。
A. 特許庁が公表しているのは主に審査着手までの見通しです。着手後の期間は、商標の内容、指定商品・指定役務、先行商標の有無、審査上の論点などによって異なります。
A. あります。拒絶理由通知への応答、審査官による再審査、拒絶査定不服審判などが必要になった場合は、最終的な判断まで1年以上かかることがあります。
A. 2か月程度という数字は、早期審査の申出から最初の審査結果までの平均的な目安です。設定登録までの期間を保証するものではなく、拒絶理由通知を受けた場合はさらに時間が必要です。
A. 未着手案件の個別の着手予定について、特許庁は回答していません。一般的な見通しは公表ページで確認します。拒絶理由通知への応答後は、出願人又は代理人等から所定の方法で問い合わせることができます。
A. 同じではありません。商標、特許、意匠は、それぞれ保護対象、審査手続、審査着手の考え方が異なります。複数の権利による保護を検討する場合は、各制度の期間を個別に確認する必要があります。
2026年6月時点における国内の商標登録出願は、出願から審査着手までおおむね5か月から9か月が目安です。ただし、この期間は審査官が審査に着手するまでの見通しであり、最初の審査結果や設定登録までの期間ではありません。
拒絶理由通知を受けた場合は、意見書・手続補正書の作成と意見書等の提出後に特許庁で審査がされますので、審査期間が長期化します。所定の要件を満たす案件では、早期審査制度を利用でき、申出から最初の審査結果までの期間を大幅に短縮できる可能性があります。
商品・サービスの発売、ブランドの公表、広告開始、海外出願などの日程が決まっている場合は、通常の審査期間を踏まえ、早めに先行商標の調査と出願準備を進めることが重要です。適切かつ円滑に手続を進めるため、知財の専門家である弁理士又は特許事務所へ相談することも検討しましょう。
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARKでは、商標調査、適切な商標登録出願、早期審査の申出、拒絶理由通知への対応などの手続を承っています。