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【2026年版】商標調査とは?調べる内容・費用・専門家に依頼するメリット

新しい商品名、サービス名、ロゴなどを採用するときは、同一又は類似する先行商標がないかを事前に確認することが重要です。

もっとも、商標調査は「同じ又は類似の名称が登録されているか」を検索するだけではありません。

採用を予定している商標自体に登録に必要な識別力があるか、使用する商品・サービスとの関係で問題がないかなどをも検討し、最終的に商標を採用・出願する際の判断材料とするものです。

本記事では、商標調査の概要、自分で行う検索と専門家による調査の違い、専門家へ依頼するメリット、費用・期間の考え方を解説します。

1. 商標調査では何を確認するのか

商標調査には、大きく二つの目的があります。

一つは、予定している商標について登録に必要な識別力があるかを検討することです。もう一つは、その商標を実際に商品やサービスに使用した場合に、他人の商標との抵触が問題となるかを検討することです。

つまり、先行商標の有無だけでなく、商標そのものの登録要件や商品・サービスとの関係まで確認するのが商標調査です。

商標自体に識別力があるか

商標登録を受けるためには、その商標が商品・サービスの出所を示す標識として機能する必要があります。

例えば、分かりやすい事例として、商品「りんご」について「アップル(apple)」のような名称を使用する場合を考えてみましょう。

仮に先行商標を検索して同じ名称が見つからなかったとしても、それだけで商標登録を受けられるとは判断できません。その商標が取引上、商品の普通名称として認識されるものであれば、自他商品等識別力がないとして登録を受けられない可能性があるためです(商標法第3条第1項第1号)。

また、商品の品質、用途などを普通に用いられる方法で表示するにすぎない商標についても、自他商品等識別力がないとして登録を受けられない可能性があります(商標法第3条第1項第3号)。

このように、先行商標が見つからなくても識別力がないとして登録できない場合があるかを検討することが、単なる検索と商標調査との大きな違いの一つです。

識別力を含む商標審査の判断基準は、「商標審査基準」で確認できます。現行(2026年4月1日~)の基準は改訂第17版です。

特許庁「商標審査基準」

先行商標と類似するか

先願の他人の登録商標との関係では、商標が同一又は類似するかに加え、指定商品・指定役務についても同一又は類似するかを確認します。

商標の類似性は、文字が完全に一致するかだけで判断するものではありません。外観、称呼、観念などを踏まえて検討する必要があり、文字の綴りが異なっていても類似商標として問題となる場合があります。

専門家による商標調査では、検索によって抽出された先行商標について、単に一覧を示すだけでなく、商標法上どの程度問題となる可能性があるかについて見解を提示します。

また、依頼内容によっては、登録可能性だけでなく、実際にその名称を使用した場合の商標権侵害のリスクについても検討します。

もっとも、調査によって将来の審査結果や非侵害が保証されるわけではありません。調査時点の情報と調査範囲を前提にリスクが評価されます。

商品・サービスとの関係も確認する

先行商標との関係では、商標そのものに加えて、指定商品・指定役務の類似性も確認します。

指定商品・指定役務の類似性の確認では「類似群コード」が重要な手掛かりになります。特許庁は、類似関係にあると推定する商品・役務をグループ化し、検索用のコードを付した「類似商品・役務審査基準」を公表しています。

ただし、商品・役務の区分や類似群コードだけで最終的な商品・役務の類否が決まるわけではありません。

2026年1月1日以降の商標登録出願には、国際分類第13-2026版に対応した基準が適用されています。最新の内容は、特許庁の「類似商品・役務審査基準」で確認できます。

特許庁「類似商品・役務審査基準〔国際分類第13-2026版対応〕」

商標調査の基本的な流れ

商標調査では、まず使用予定の商品・サービスを整理し、調査対象となる商標を確認します。次に、同一商標や類似商標を検索し、抽出された商標の権利状況や指定商品・指定役務などの詳細を確認します。

そのうえで、先行商標との類否だけでなく、識別力をはじめとする登録要件も検討し、採用や商標登録出願の判断につなげます。

重要なのは、検索結果を出すこと自体ではなく、その結果をどう評価するかです。

2. 自分で行う検索と専門家による商標調査の違い

先行商標は、特許庁が所管する独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)が提供する特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を利用して自分で検索することもできます。

J-PlatPat「商標検索」

J-PlatPatの商標検索には上記の公式ページからアクセスでき、商標名や称呼(読み方)、類似群コードなどから出願・登録情報を検索できます。

候補名が複数ある初期段階で、同じ名称の登録商標等がないかをチェックしたり、採用候補を絞ったりするために活用するうえで有効です。

具体的な入力方法や検索画面の操作については、本記事では重複を避け、以下のページで詳しく紹介しています。

当所「J-PlatPatを使った商標検索の方法」

なお、J-PlatPatの「出願・登録情報」は、公開公報発行後、データが蓄積され検索可能になるまで3~4週間かかります。直近の出願を確認する場合には、データの更新状況にも注意が必要です。

また、検索で同一・類似商標が見つからないからといって、商標登録が可能であることを意味しません。上述の「アップル」の事例のように、先行商標とは別の拒絶理由が問題となる場合があるためです。

自分で行う検索と専門家による商標調査との大きな違いは、検索結果をどこまで法的に評価するかにあります。

3. 専門家に商標調査を依頼するメリット

弁理士や商標を専門とする事務所へ調査を依頼すると、検索結果の一覧だけでなく、商標の採用や商標登録出願を判断するための専門的な見解を得ることができます。

例えば、先行商標が見つからなかった場合でも、予定している商標について商標法第3条の識別力など、先行商標とは別の登録要件を検討できます。

一方、類似する先行商標が見つかった場合には、商標法第4条第1項第11号との関係で、外観、称呼、観念や商品・役務の関係などを踏まえた類否の評価を受けることができます。

専門家に依頼する理由は、検索結果の評価だけではありません。調査経験を踏まえ、どの称呼や商品・役務まで確認するのか、文字だけでなく図形部分も調査する必要があるのかなど、対象商標に応じて調査範囲を設定します。

調査結果に問題があれば、別の名称を検討する、指定商品・指定役務を事業内容に合わせて見直すなど、その後の対応について相談することもできます。

特に初めて商標登録を検討する場合には、検索結果の意味や、次にどのような手続を検討すべきか分かりにくいことがあります。調査から出願まで一貫して相談できれば、調査結果をその後の事業判断にも活用しやすくなります。

自分で行う検索は「先行商標を探して候補を確認する作業」
専門家による商標調査は「必要な範囲を検索したうえで、登録可能性や採用・使用上のリスクを評価する作業」

4. 調査範囲によって費用や期間は変わる

専門家に商標を依頼する場合、商標調査の費用や期間は、必要となる調査範囲によって異なります。

例えば、一つの文字商標について国内の先行商標を確認する場合と、ロゴを含む商標について図形部分まで調べる場合とでは、調査内容が異なります。

海外、すなわち外国で使用・出願する商標については、対象国・地域のデータベースや制度も考慮する必要があります。

このため、「商標調査はいくらか」「何日かかるか」だけではなく、どこまで調査するのか、識別力や類似性についての評価を含むのか、調査後の相談や出願支援まで受けられるのかを確認することが重要です。

必要以上に調査項目を増やすのではなく、自社のブランドの重要性や使用予定に応じて調査範囲を決めることも大切です。

なお、商標調査の費用と、特許庁へ支払う商標登録出願・登録の費用(印紙代)、弁理士へ出願手続を依頼する場合の手数料は別の費用です。

5. 商標調査はいつ行うのがよいか

商標調査は、名称やロゴを最終決定してから行うよりも、候補を検討している段階で行う方が効率的です。

候補が複数ある段階では、まずJ-PlatPatなどで先行商標の有無を確認し、候補を絞った後に専門的な調査へ進む方法があります。

特に、商品パッケージ、広告、ウェブサイトなどの制作を本格的に始める前に調査しておくことが重要です。

名称を公表して商品やサービスの提供を始めた後に問題となる先行商標が判明すると、名称変更や制作物の修正が必要となり、事業への影響が大きくなる可能性があります。

また、調査から商標登録出願まで期間が空いた場合には、その間に新たな出願が行われることもあります。出願前に最新の情報を再度確認することも検討しましょう。

商標登録後については、第三者の出願状況や自社の権利、更新期限などを必要に応じて管理することになります。商標調査は、ブランドの採用から出願、権利取得、その後の管理へと続く一連の知財活動の入口ともいえます。

6. まとめ

商標調査は、同じ商標が登録されているかを検索するだけの作業ではありません。

先行商標との類似性だけでなく、予定している商標自体に識別力があるか、商品・サービスとの関係で登録上又は使用上の問題が生じる可能性があるかなどを検討し、最終的にブランドを採用・出願するための判断材料とするものです。

例えば、先行商標が見つからなくても、商品「りんご」について「アップル」のように普通名称として認識される表示であれば、識別力の観点から別の検討が必要になります。

J-PlatPatを利用すれば、自分でも先行商標を無料で検索できます。具体的な検索方法については、当所のJ-PlatPat検索解説をご覧ください。

当所「J-PlatPatを使った商標検索の方法」

一方、重要な商品名やサービス名を採用する場合や、類似商標が見つかって判断が難しい場合には、弁理士等の専門家へ商標調査を依頼することで、識別力や、商標の類否を含めた専門的な評価を受けることができます。

HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARKでは、国内外の商標調査、調査結果に関するご相談、商標登録出願等を支援しています。重要なブランドの採用や商標登録出願をご検討の場合は、ご相談ください。

弁
この記事の監修者
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
弁理士 米田 辰也

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