PATENT
特許・実用新案
新しい商品名やサービス名などを思いついたときは、商標として正式に採用する前に、同一又は類似する先行商標がないかを調べておくことが大切です。
もっとも、候補が複数ある段階で、すべてについて詳細な商標調査を行うのは効率的ではありません。まずはJ-PlatPatのトップ画面の「簡易検索」を利用して候補を確認し、詳しく調べるべき名称を絞り込む方法があります。
本記事では、商標の簡易調査を行う意義とタイミング、J-PlatPatのトップ画面から簡単に検索する方法、検索結果を見る際の注意点を解説します。
商標の簡易調査は、採用を検討している名称について、同じ名称や気になる先行商標がないかを短時間で確認する予備的な調査です。商標登録の可能性や実際に使用した場合のリスクを最終判断するものではなく、名称の候補を整理するための初期チェックと考えると分かりやすいでしょう。
例えば、商品名の候補が五つある場合、まず五つの名称を簡易調査します。同じ名称や気になる商標がヒットした候補については、通常の「商標検索」でさらに詳しく調べます。
同じ名称の登録商標が見つかっても、それだけで候補を直ちに除外する必要はありません。先行商標が指定している商品・サービスとの関係などによって評価が異なるためです。簡易調査は、採用の可否を決めるものではなく、候補を整理し、次の調査につなげるために活用します。
簡易調査に適した主なタイミングは、次のとおりです。
一般のウェブ検索で同じ名称が見つからないことや、会社名・ドメイン名を取得できることと、商標として登録又は使用できることは別の問題です。名称を事業で使用する予定がある場合は、商標についても調べておく必要があります。
J-PlatPatは、特許庁所管の独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)が提供する特許情報プラットフォームです。特許・実用新案、意匠、商標に関する情報を無料で検索できます。
商標の簡易検索は、次の三つの操作で行います。

初期状態では「四法全て」が選択されています。商標を調べる場合は、「商標」を選択してから商品名やサービス名などの候補を入力します。
まずは候補名をそのまま入力して、どのような検索結果が表示されるか確認してみましょう。
なお、J-PlatPatのトップ画面にある簡易検索は、検索対象が限定されています。漏れのない詳細な検索を行う場合は、画面上部の「商標」から通常の「商標検索」を利用します。
検索結果に気になる商標があったら、個別案件を開き、商標そのものだけでなく、出願人又は商標権者、指定商品・指定役務、出願・登録の経過や現在のステータスなどを確認します。
検索結果は、次のように受け止めます。
・同じ又は近い名称が見つかった場合 直ちに使用できない、又は登録できないと決まるわけではありません。商品・サービスとの関係などを含めて詳しく検討する必要があります。
・別の分野で同じ名称が見つかった場合 区分が異なることだけで問題がないとは判断できません。一方、同一名称が存在することだけで候補を除外する必要もありません。
・検索結果がゼロだった場合 類似商標が存在しないことや、商標登録が可能であること、自由に使用できることを必ずしも意味しません。
商標の類否は、文字が完全に一致するかだけで決まるものではありません。外観、称呼、観念などのほか、先行商標との関係では指定商品・指定役務が同一又は類似するかも確認する必要があります。
また、J-PlatPatのデータには更新のタイムラグがあります。検索時点で確認できる情報だけをもって、直近の先行商標出願がないと断定することはできません。重要な名称については、商標登録出願の前にも改めて確認するのが適切です。
J-PlatPatの簡易検索は、実際に採用する名称を調べるときだけでなく、商標制度に触れてみる入口としても活用できます。
例えば、試しに「ハンバーグ」という言葉を実際に検索してみましょう。
検索対象から「商標」を選択し、検索窓に「ハンバーグ」と入力して検索します。

今回確認した時点では、「ハンバーグ」の検索結果は全部で238件でした。
238件を一つずつ見ていくのは少し大変です。そこで、検索結果一覧に表示される「出願年別」の絞り込みから「2026年」を選択してみます。
2026年に絞ると、検索結果は9件になりました。

検索結果一覧には、商標見本のほか、商標(検索用)、称呼、区分、出願人・権利者、出願日、登録日、ステータスなどが表示されます。
こうして実際の検索結果を眺めてみると、「ハンバーグ」という身近な言葉だけでも、いろいろな商標が出願されていることが分かります。「こんな商標もあるのか」と見ていくだけでも、商標が少し身近に感じられるかもしれません。
「ハンバーグ」に限らず、漠然と思いついた単語を検索してみたり、普段よく目にする有名企業のブランド名を調べてみたりするのも面白いかもしれませんね。誰が出願・登録しているのか、どのような商品・サービスが指定されているのか、文字だけでなくロゴも登録されているのかなどを見ると、企業がブランドをどのように保護しているかを知るきっかけになります。
ただし、ヒット件数が多いから商標登録できない、少ないから登録できる、と判断することはできません。簡易検索はあくまで気軽な入口として利用し、実際に名称を採用するときは、より詳しい調査へ進みます。
簡易検索で候補を整理した後は、通常の「商標検索」で詳しく調べます。
通常の商標検索では、商標名だけでなく、称呼や商品・役務の類似群コードなど、簡易検索より細かな条件を設定できます。
具体的な検索方法は、以下の記事で解説しています。
簡易検索は検索対象が限定されているため、検索結果に同じ名称がなかったことだけで調査を終えるのは適切ではありません。
特に、次のような場合は、簡易検索に加えて通常の商標検索、さらには弁理士による調査を検討するとよいでしょう。
弁理士による調査では、表記、称呼、観念、商品・役務の関係などを踏まえて、登録可能性や使用上のリスクを検討します。
J-PlatPatの簡易検索は、商標の名称候補を整理する初期チェックとして手軽に活用できます。
実際に商品名やサービス名を採用する場合は、簡易検索だけで結論を出さず、通常の商標検索や弁理士による調査へ進むことが大切です。