外国の意匠制度

インドの意匠制度

 

1.はじめに

中国や韓国、シンガポールと同様にアジアの重要国・地域のひとつであるインドにて、知的財産権のひとつである意匠権の権利保護を行う際に役立つ情報を、以下に掲載しております。

本ページが、お客様が海外で知的財産の保護を行う上での支援の一助となれば幸いです(新興国・インドにて意匠権の取得をお考えの方向けに特化した内容となっております)。ぜひお役立て下さい。

※<インド意匠出願の平均的な審査期間> 6~9ヶ月 ※2018年4月時点

2.インドにおける意匠制度の概要

インドでは独立して意匠法が存在しています。インドの特許法や、日本の意匠法とは異なる点がありますので注意が必要です。

※インドで特許出願等、他の法域での知財保護をお考えの方は以下のリンクをご参照ください。商標法の保護対象や、出願の動向に関する統計の情報および審判・訴訟に関する説明もございます。

インド支援室:https://www.harakenzo.com/service/india/

(1)制度・登録要件・存続期間等

特有の制度 登録要件 実体審査 新規性の判断基準 存続期間
・部分意匠(△)
・動的意匠
・組物意匠
・新規性
・創作容易性
あり
*アクセプタンス制度あり
・内外国公知
・内外国刊行物公知
出願日から10年
*1回だけ5年の延長が可能

〈意匠の定義〉
「意匠」とは、手工芸的、機械的、若しくは化学的の如何を問わず、又は分離若しくは結合の如何を問わず、工業的方法又は手段により、2次元若しくは3次元又はその双方の形態かを問わず、物品に適用される線又は色彩の形状、輪郭、模様、装飾若しくは構成の特徴に限られるものであって、製品において視覚に訴え、かつ、視覚によってのみ判断されるものを意味する。

〈特有の制度〉
部分意匠制度は、法上、規定されていないものの、実務上、実線・破線で記載することは認められている。
部分意匠として登録を受けようとする場合、意匠全体の図面を出願し、部分意匠登録を受けようとする部分を矢印等で示し、必要であれば拡大図を提出する。
*秘密意匠制度は存在しない。

〈登録・実体審査〉
新規性・創作非容易性のないものの他にも、公序良俗違反に反するもの等も登録要件を満たさない。
アクセプタンス制度とは、出願日から6ヶ月以内に意匠出願を登録可能な状況にしなければ、当該出願を放棄したものとみなす制度をいう。審査請求は不要である。

〈新規性の判断基準〉
内外国公知、内外国刊行物を基準として判断される。
新規性喪失の例外の適用が、意匠の開示日から6ヶ月以内で認められる。ただし、特定の博覧会等に限られる。

〈存続期間〉
登録日は出願日とする。
*1回だけ5年の延長が可能。更新不可。

〈その他〉
出願言語はヒンディー語か、英語である。
登録された意匠は、当該意匠についての詳細を所定の方法で公告され,その後に当該意匠は公衆の閲覧に供される。
異議申立制度は存在しない。
利害関係人は、登録後、いつでも登録の無効を請求することができる。
パリ条約に加入しているため、日本での出願に基づく優先権の主張が可能である。

インド:手続きの流れ
インド:手続きの流れ

(2)手続の流れ

※拒絶に対して不服がある者は、高等裁判所に上訴することができる

(3)条約への加入

主な条約への加盟状況は以下の通り

パリ条約 WTO協定 ハーグ協定 ロカルノ協定
加盟 加盟 未加盟 加盟

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